20131115

Maison Martin Margiela 2014SS トランクショー




こんにちは。
めっきり寒くなりましたね。




メゾン マルタン マルジェラ、2014春夏シーズンのトランクショーにお邪魔してきました。
半年に一度のお楽しみです。

毎度この時期になるとトランクショーと並行して
プレコレ入ってきてるよ売ってるよ〜というチョ・マテヨ顔面蒼白な事態が
当然のように起こっていましたが、今回はそうでもなかったです。


というかメインもプレもサンプル少なめで
これが本当の“トランク”ショーだねHAHAHAみたいな、
これ欲しいんだよねって目星付けてたのがことごとくノーサンプルだったのが残念でした。


そんな中でざっと聞いてきたコンセプトやディテールなどをまとめておこうと思います。






まずはメンズコレクション、今回のテーマは「過去の記憶」。
服にまつわる時間の流れにインスパイアされたデザインが主流となっているようです。


この14SSコレクションからメンズデザイン部門の人員が変わるそうで。
そういう意味でも、メゾンのコアコンセプトとも言える「経時」に改めて言及することで
これからのマルジェラメンズはこんな感じでいきますよ〜
ってコレクションにしたかったのかなあ、なんて勘ぐったりもしてみましたが



             /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
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    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
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多分コレクションで一番目立っていた【テーラーズテクニック

仮縫い糸やラペルの芯地、肩に詰められたパッドの綿等を目に見えるようにすることで
一着のジャケットを仕立てるまでに職人さんがかける長い時間を思い起こさせる狙いが。


いかにも本気の仕立て途中って感じですね。
つまんで引っ張ったら解けてきて焦りました。


腰に巻いているのは着古してどうしようもなくなったジャケットを真っ二つにし、
ベルト穴を開けてエプロンとして再利用した、という設定(たぶん)のもの。
ベルトと本体のセットで販売されるようです。
昔のアーティザナルっぽい発想ですね。








異なる服の要素を組み合わせて新しいひとつの服にする【コンバイン

このコートは作業着のツナギとコートを混ぜ合わせたようなデザイン。
無骨な作業着の雰囲気にコートの持つちょっとしたエレガントさが加わって
なかなか使い勝手の良さそうなアイテムでした。

ボトムは長い間履き込むうちに足元から汚れて変色していったのを
グラデーションで表現してあるんだと思います。君は炭鉱夫か何かなのか。


【コンバイン】には他にもラグビーとホッケー(だったかな…)のユニフォームを
合体させたカーディガン、カーコートとナイロンコートの合体したコートなどがありました。
カーディガンはトム ブラウンのアイコンのような袖の3本線に
身頃にはゼッケンらしい「10」のプリントが施されるなど、
ポップさとクラシックなスポーティさが合わさってて面白かったです。



全体的にこの辺のアイテムはコム デ ギャルソンぽいなあって思ったり。

もっとも、ギャルソンのドッキングは違う服を繋ぎあわせた事を強く主張してますけど、
こっちのものは「いや、コレは元々こういう形なんスよ」って白を切ってる感じで、
ファッション受けの良さそうなコンセプトながら出来上がった服そのものは
相変わらずのマルジェラだったのが印象的でした。







使い込むうちに本来の柄や質感、ディテールが消えて無くなっていく【イレイズ】

ケーブルニットの柄が所々消えて無地になっていたり
ミリタリーカットソーのディテールが一部剥がれ落ちている、など。


この靴のサンプルは無かったのですが、たぶん同じコンセプトだと思います。
たぶん。








本来は何もなかったところに経年に伴う痕跡が残っていく【インプリント

比翼仕立てだったジャケットを長年着続けたせいでボタンの跡が浮いてきたかのようなデザイン。
そこにあるはずのラペルは逆に痕跡だけ残して消えちゃってます。
これは後述のレディスコレクションでも大々的に扱われてるコンセプトですね。

ペンダントのキーケースも中の鍵のシルエットが浮き上がっています。








布地に顔料のようなものを塗布してレザーの質感を模す【レザーエフェクト

レザーパンツをとことん履きこんでバキバキにした感触を
再現してくれているのでしょうか。
本物の新品レザーで仕立てたパンツと並べて置いてあって面白かったです。








このコートは1911年のスイスはルツェルンにおける軍用ピーコートのレプリカ。
生地は【レザーエフェクト】のもののようですが、元々はレザーで作られていたんでしょうか。
エフェクトのかかっていない内側の布地とのコントラストが地味に効いてますね。
これに使われている変形メタルボタンって13AWのレプリカカーディガンのものと同じに見えるんですが、まさか使い回し?








このコートもレプリカだと聞いたんですが、あまり突っ込んで確認していません。
もちろんサンプルが無かったからですよ?
別に興味が無かったからとか口が裂けても言いませんよ?



身頃に飛び散ったオレンジ色は【ラスト】に基づく錆汚れのデザインだそう。
他にも首元にハンガーの錆が浮いて模様のようになっているカットソーなどがありました。

この錆のコンセプト、ちょっと前にもやってましたね。
あの時もシャツやパンツに錆が浮いてそれはそれは汚らしい面白い試みだと思いましたが、
今回のは「仕事してたら錆が飛んだ!」「ハンガーに吊ってたらハンガー錆びた!」等、
それが時間の経過につれて付着したものであることが解るような形になっていて楽しいです。

僕はいりませんけど。








同じくレプリカ、1923年のフランスにおけるウエストコート。

これはサンプルを見てみたかったもののひとつなのですが残念ながら無く。
同生地で作られたネクタイがあったので素材感だけ堪能してきました。
コットンシルクの光沢にシャンパンゴールドの色味、素晴らしいです。GOODです。


ただレプリカであることに加えて素材にシルク様が混ざったおかげか、
ちょっと引くような値が付けられていました。








ロイヤルブルーやダークネイビーなど、様々な青がキーカラーとして登場。
定番の5ZIPライダースも“インディゴ”と名付けられた褪せたブルーで大変素敵でした。


そのひとつでもあるこのパンツ、
使われている光沢のある素材は【デニムフィーリング】のものです。

【レザーエフェクト】同様、
本来とは違う素材でデニムのような質感を出そうとしたものだそうです。
これは過去の記憶とどう繋がるのかちょっとよく解りません…。
キーカラーのバリエーションとして作られただけでしょうか。








毎度おなじみ、服の内部構造を表に出す【インサイドアウト

見ろよこの丁寧な仕事!
おまえら普段こんなとこ見ないだろ!どんだけ時間かけてると思ってんだよ!!

職人たちのそんな嘆きが聞こえてくるようです。








首に巻いた大剣のネクタイは【テーラーズテクニック】の一環。
通常幅のネクタイに仕立て上げる前の段階で縫製を止めたような作りになっていて、
かちっと折り目が付いているので畳んでネクタイとして使うことも、
広げてストールぽく使うこともできる仕様だそうです。
グリーンスカーフガールみたいですね。



そしてもうひとつ上に挙げたルックでも着ているすけすけニット。

これはちょっと前のシーズンでもやっていた【トランスペアレンシー】のアイテム。
薄っすい素材の服を着てレイヤードを楽しもうとか何とかのアレですね。
シーズンテーマに沿って解釈すると、着込んで生地の痩せたニットの透け感とかの再現になるんでしょうか。





あとこのニット、



無地じゃなく模様が入っています。






これは【エンベロープ】というコンセプトらしく、




こういう古い封筒の内側に描かれたセキュリティパターンに
着想を得た模様なんだそうです。






ニットの模様はこれですかね?




他にも




こういったパターン柄のシャツやフロッキープリントのカットソー、
封筒の窓のような装飾がついたアイテムなど、色々と用意されているようです。

なかなか凝ってますね。








…とまあ、ざっとこんな感じです(息切れ)

コレクション公開当初は随分チャラいおっしゃれだな〜って思いましたが
こうして細かい説明を受けるにつれ、相変わらずのマルジェラさんなんだなって
感じるようになってきました。



まあ、これまでのコレクションも十分におしゃれなんですけど、
お前それどこのマフィア映画参考にしてきたんだよ… みたいな
何処かには居そうだけどちょっと浮世離れしてるねって感じは薄まってるような。


これまで着てる服自体はどれもぎりぎりノンフィクションだけど
合わせ方のせいでルックではぎりぎりフィクションが漂っていたのが、
今回は服自体のフィクションも強まっているような気がしないでもないというか。



前々から「10ラインはもっとはっちゃければいいのに」って思ってたんですが、
つまりそういうことなんですかね?10がはっちゃけるようになってきたんですかね?


僕としては“コレクション”である10ラインのファッション性が強くなれば
その分コントラストが強まって14ラインの“ワードローブ”な服も輝きを増すと思いますし、
それらを組み合わせて作られるショーがより良いものになるんじゃね?って
短絡思考なんですが。


逆に14ラインがちょっとご機嫌伺いみたいにファッションファッションする方が嫌なので
10ラインにはこれからも順調にはっちゃけていただきたいです。


いいぞーもっとやれー






* * *






続いてレディスコレクションです。



テーマは「サーカス」。 サーカス??


まあ、ただでさえ手に取れる品の少ないレディスでしかも今回は春夏、
もうほぼ全てのお品物がスルー必至なわけで(あ た り ま え)。


おかげで詳しい説明、あんまりちゃんと聞いてなかったです。
なんでサーカスなのか、とか。サーカスだからなんなのか、とか。






このスパンコール刺繍のアイテムがどれもとても素敵に見えたので
ダメ元で実物拝んでみたいですねぇって言い寄ってみたら
すみません、サンプルありません…

デスヨネー






そんなサンプルも入荷も少なめなことに定評のあるDéfiléラインですが、
数少ないサンプルの中で図抜けて可愛かったのが


こちら。

このトレンチワンピースがかけられたトルソーの前で
担当の方とひたすらかわいいかわいいってべた褒め合戦やってました。
それくらいこれは良かった。サイドスリットやらポケットの形状やら
褒めだしたらきりがありませんでしたが、なにせかわいいんです。
もはやそれだけが正義だと言わんばかりに。






あとこれ使われてる生地が素人目にもとても良いもので、
お前らトレンチの老舗とかじゃないくせになんでそんな本気出すの?
って問い質したくなるくらい、肉厚で滑らかで良い色のこれぞトレンチ!な生地でした。








ショーに出ていたこちらのトレンチコートも同生地の仕立て。
通常のセンターベントに加えて両脇にスリットが入っている以外は
本当にベーシックなデザイン。騒々しいところは一切無しです。
こういう引くところは徹底して引くのが素晴らしい。


長く使えるいいトレンチがほしい!って人には本気おすすめの逸品だと思います。
僕も欲しいです。


無論値段も素晴らしい予感ですけどね(^v^)
3…とか言ってましたしね(^v^)








このノーカラーのコートもシンプルでいいなと思いましたが、話し始めに
こちらはカシミヤで…
って言われた時点で詮索するのを止めました。やめてくれ怖すぎる。










プレコレクションのメインコンセプトはメンズにもあった【インプリント
服に本来備わっているディテールが痕跡だけ残して消えているパターン。


このコンセプトは元々2001年に発表されたもので、今回はその復刻のようです。



最近はショーコレクションで新しいコンセプトやシルエットを発表しつつ
プレコレクションで過去のコンセプトを復刻・再解釈するという流れが
定着しつつあるみたいですね。


昔の作品を写真越しにしか体験できない自分にとってはありがたい話です。


その他、先シーズンの【エロンゲート】も継続で展開されていました。
(前に【伸ばして切って】って呼んでいたシリーズですねw)

あとは、イスラエルの都市テルアビブで見つけたという
七分袖で丸い肩のシルエットが可愛らしいイブニングコートやジャケットのレプリカなど。



ただ正直そこまで興味をそそられなかったのであんまり注視していなくて、
つまりプレに関してはあんまり書くことがありません。ひどい話だ。


レディスはとにかくトレンチ欲しいの一点張りでした。
あれはいい。






* * *






だらだらと書き殴ったので見辛かったら申し訳ないです。
お付き合いいただきありがとうございました。


なんだかんだ言ってやっぱり新しいシーズンの雰囲気に触れると気持ちが高まりますね。

今回はメンズ・レディス共に
過去の作品やコンセプトと新しい試みや解釈とが混然とした印象でした。
特にメンズは初見の印象と詳しく話を聞いた後の印象がまるで違うものなどもたくさん。


吊るされた服の、一見しただけでは掴みきれないところに隠された意図や試みを
目ざとく見出だせる眼力やセンスが欲しいなって改めて思いました。











おまけ




MM6恒例のお店プリントが今回は遂に恵比寿店特集らしいです。
記念に買いましょう。


20131028

百年前の漁師のセーター




Fisherman sweater (Replica)
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Maison Martin Margiela, circa 2013
wool_100%
made in Italy
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パソコンを買い換えました。
掃除機のような排気音も発狂しそうになるタイムラグも起こりません。
心機一転ブログを再開させようと思います。

まあブログ放ったらかしてた原因はパソコンだけじゃねえだろって話でsg











「寒さに向き合う服」をテーマにした(私見ですが)今秋冬コレクションの中でも
ひときわ“温かそう”だったレプリカシリーズ、北の海のニット群。

もちろん気になってはいましたよ。レプリカ好きですしね。
ただ気にはなっていたものの「絶対買う!」って感じでもなくてですね。




13AWトランクショーの記事でも書きましたが今回のレプリカは全5種類。









①1963年、エディンバラのアランセーター


うむ。
これぞアランセーターって感じですね。複雑な編み模様が素敵です。
ただその編み模様にいまいちグッとこないというか。
これなら今現在もあちらの北の海で作ってるような
「本物」のアランセーター探せばそれでいいんじゃねって思えてきて。
わざわざレプリカで大金叩くほどでもないかなー。

パス!








②1953年、グラスゴーのボックスセーター


うむ。
これは可愛いし欲しいなって思いました、正直。
肩の変形ラグランな編み方も素敵だし、腕の太さがなんとも面白くてですね、
セリーヌ様などがやってるようなオーバーサイズの着方が自然にできそうでしたし。

ただね、これ首がものっすごい詰まってるんですよ。
おそらく防寒の為でしょうが首は太いわ頭はデカイわの僕にとっては鬼門でしかない。
シルエットは可愛かったんですけどね。
ものの例えじゃなく本当に息が詰まるっていうね。

パス!








③1975年、ラーウィックのカーディガン


カーディガンはお呼びじゃない。(・∀・)カエレ!!











④1872年、カークウォールのアンダーウェア


これにいたっては実物を見てもいないのでパスも何も。
ばかやろーまだはじまってm(ry






ていう感じでですね、ああーいいですねえ可愛いですねえとはなったんですが
よっしゃ買おう!とまではならなかったんですよね。

なのでシーズン突入してレプリカニットの話題が燃え上がり始めても
そこまで興味を持ってませんでした。
全5種類って聞いていたけどもう1つ確認してないのあるな、て事に至っては
自分の聞き間違いだったんだろうと、気にも留めていなかったのです。




そして、10月


「レプリカニット、ようやく最後のが入ってきたんですよ〜」








・・・・・・。








・・・・・・・・・・・・。








・・・。






















この金でそのセーターを譲ってください
お願いしますなんでもしますからぁ!!







おおぉぉ。


なんということでしょう。
事故です大事故です。
他の用事に使う予定で貯めていたお金を全部ぶちまけました。






では改めまして、




⑤1905年、インヴァネスのフィッシャーマンセーター


綱を這わせたような太い編み模様は
防水性・防寒性に富むという機能面での利点はもちろん、

“家に固有の編み目にすることで
万一海で命を落とした時、流れ着いた遺体が誰なのか識別できるようにする”という
なんとも悲しみロマンティックな由縁があるんだそうで。






そう!その個体識別を目的に発達したであろうこの、この!!

記号かあるいは言葉のように並べられた様々な編み模様の
ただひとり、ただひとつを示そうとする静かな主張が!
きっと百年前にはこれを着た誰かが生きていたんだろうなあって!
ね!!

「そう!これ!これがレプリカ!! おれ!これ!ほしい!!」







見事お買い上げでございます。




勢い余っておおきめMサイズ。



フィット感からしたら正直Sサイズのほうがジャストで着れそうでした。
ただもうこの色の在庫がこれしかねーよって言われて、もう…。
そういう買い方したらあかんよって散々言われてるのに。
どうしようもないですね。


特に袖が長めなので結構だるく着ることになります。
上の着画だと美形じゃなくて髭の方のイメージですね。



あ、ちなみに色によって質感が微妙に違ってですね。
ネイビーやホワイトは柔らかい縒りのニットなんですが
グリーンの方は若干圧縮加工がかかったような目の詰まった出来で、
ほんの気持ち分スリムフィットな感じでした。




まあー、でもジャストできっちり着るのもいいけど
大きめにだらーっと着てもかわいいんじゃね?ってことで、
半ば無理矢理でしたが納得しました。

編みは複雑ですが基本的にそこまで厚手では無いので
長めの袖はぐしゃっとまくり上げちゃっても邪魔にならないですし。



それにほら、公式eブティックだって袖だるーんだし
きっとああいう風に着たほうがCOOLなんだぜ??

(公式eブティックって売る気あるのかないのかたまに本気で解らなくなる…)


(美形の子の絶妙なユルさ、かっこいいっすね…)









なんにせよ、よいものを手にできて私は満足です。

20130621

革のふくろ


Two fold pouch
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ARTS&SCIENCE, circa 2013
cow leather_100%
made in Japan
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記事のタイトルにブランド名が入ると
それだけで結構長ったらしくなりがちだったので
思い切ってカットしてみました。

解り辛いかも、とは思いましたが謎めいた雰囲気がそれはそれでいい感じなので、

これからのタイトルはトルネコの不思議のダンジョンでいうところの
鳥の絵の巻物」とか「青い草」とかのああいう雰囲気で付けていこうと思います。

ソニアさんのアレみたいに一度にたくさんのブランドが列挙されるならともかく、

ここじゃ出てくるブランド自体限られてますしね。




で、今回の記事はそんなソニアさんのお店「ARTS&SCIENCE」の商品です。


ソニアさんの例の本をリスペクトする程度にはA&Sのファンではあるのですが、

オリジナルブランドのお洋服は打率2割くらいでしかヒットせず。
お買い物のメインはもっぱら小物や生活雑貨です。
こちらはセレクトもオリジナルも好みのものがたくさん。




特に革製品はご本人がお好きなのかなんなのか、

それなりの価格で色々とこだわった商品が多く見受けられるように感じます。


今回のこの鞄も形は極々シンプルなのですが、

スウェーデンで獲って
イタリアで鞣した革を
日本で縫って作られているという、
なんとも国際色豊かな出自のアイテムだったりします。







御覧の通り、ちょっとビックリするくらい簡素な作りです。

3辺を縫い合わせてくるってひっくり返しただけ。
裏地とかもありません。
鞄というより本当に「ふくろ」です。

中にはブランド名とmade in japanの表記タグが。








適当にモノを詰めて口を折曲げれば

このごろ流行りの(ちょっと遅い?)クラッチバッグに早変わりです。

ひとつ折りでもいいし、くるくるっとまるめちゃってもかわいい。

写真のはまだ革が硬いので馴染んでませんが、じき大人しくなるでしょう。







表に見えるデザインらしい所と入ったら

このロゴと縁の線模様?のようなものくらい。
シンプルで良いですね。
でもブランド&メイドインジャパンのタグなら内側にもあるんだから、
ここはシンボルの鍵束スタンプだけにしてくれてもよかったのよ?




あとやっぱりこの革にこだわりがあったらしく、先述の出自の他にも

「言葉で表せばヌメ革なんですけど、
 ヌメよりももっと白さが際立っていてすごくいい革なんです!」
と、熱くおすすめして下さいました。


たしかによくあるヌメよりも白っぽくて美肌です。

ですがどのみち使ってるうちに汚れt 味が出てくるのがヌメ革の運命、
じきに逞しく生まれ変わってくれることでしょう。







こちらの既にものすごく逞しい顔つきのポーチは

いつかのメリークリスマスに同じくA&Sで買ったもの。
アンテロープ?という鹿っぽい動物の革だそうで、表情豊かなオイリー肌です。


このポーチに細々しいものを押し込み、それとお財布を入れれば

それだけでいい感じの満載感が漂う規模のふくろですが、
「財布と+αだけだから大げさな鞄は要らないや」ってときには
本当にちょうどいいです。




といっても、流行の荒波に真っ向勝負で「小脇にクラッチじゃゴラァ!」って

やれるようなタイプの気合い入ったアイテムでもないので、





こういう風に、

飲み物とこのふくろを抱えながら
のんびりと町中散策とかできたらいいなあって思います。







ホリーゴライトリーの快活さが大好きです。

いつか部屋にバスタブを置いてソファ代わりにしたいものです。


おしまい。

20130527

Maison Martin Margiela 2013AW トランクショー

お久しぶりです。
お前はいつまで裸の兄ちゃんをトップ記事にしておくつもりだと
お嘆き下さる方はいらっしゃいますか?









メゾンマルタンマルジェラの2013AWトランクショーに行ってきました。

年明けのセールが一段落した時に行ったきり、
シーズン真っ盛りの品物を取り置いてもらったまま3ヶ月余り放ったらかすという
迷惑千万な私のことをそれでもご招待して下さって本当にありがとうございます。






(もこもこ萌え)


2013AWのマルジェラメンズはざっくり言うと「寒さと向き合う服」でした。
秋冬シーズンらしい防寒能の高さはもちろんなのですが、それだけじゃなく
「寒さに対する服の応答」をデザインに落とし込んでいるあたりが
とてもマルジェラらしくて素敵でした。






例えば、


メインコンセプトのひとつ、【モア・クローズド】のジャケット。
この変わった前合わせは単なる変形ダブルブレストではなく、
「寒さをしのぐために着ているジャケットの前をよりきつく閉める」という
ジェスチャーを元に作られているものだとか。
「北風と太陽」のVS北風的なあれですね。








左のお兄さんが着ているのは同じコンセプトのニットやコート。
このコートなんかはイングランド?かどこかの郵便局員の防寒コートと
良く似たデザインで着易そうだし、何よりかわいいですね。
あまり期待しないで羽織ってみたらうっかり似合ってしまって心が揺れました。








【襟を立てて寒さをしのぐ】ジェスチャーを元にしたこちらのコートは
襟の裏にワンポイントとなる色合いの生地が充てられている仕掛けが。
ベースがシンプルなのでフォーマルにも問題なく使えそう。






そういえば、



コレクション発表当初大いに萌えていたこのツナギスーツ(左)ですが、
腰が完全に繋がったジャンプスーツタイプではなく
「セットアップだと思っただろう?残念、つなぎでしたー!」
って感じの“一部が繋がってるフェイクセットアップ”でした。


欲しかったのはあくまで“テーラード仕立てのジャンプスーツ”、
そう、ただセットアップがひっそり繋がってるってだけじゃ萌えないんスよ…。


特に後ろ姿が完全に普通のジャケットにパンツで残念極まりなかった。


ツナギらしさもセットアップらしさも不十分てどういうことだよ!
むしろ何の為に上下繋げあわせたんだよ!
着辛いだけだYO!



猛りし恋は空しく消え去りて候。
同生地でクロップド丈のパンツがあるらしいので、そっちを探そうと思います。。








毎度人気のレプリカシリーズ、今回はこれまた人気の出そうなヘビーニット特集でした。
フィッシャーマンズニットとかアランニットとか、あの辺のです。
全5種類。








これはズドンとボックスシルエットで大きな袖ときつい襟ぐりが特徴。
不自然なくらいに袖が大きいです。中に着込んでも腕を動かしやすいようにでしょうか?
ざっくり具合が女性客にもウケたようで受注も少なくないそうです。








こっちはいわゆるアランニットですね(たぶん。)
凝った織り模様以外は通常のプルオーバーのサイズ感なので難易度は低め。
織り模様に空気が入るのか、他のに比べて薄手ですが負けないくらい温かかったです。


あとはべこべこに凹んだ金ボタンのカーディガンとかがありましたが
特に気に入ったのはこのふたつ。




そして定番のドライバーズニットもレプリカシリーズにあやかったかのような
圧縮加工の古着っぽいふんわり柔らか仕上げになっていてとても素敵でした。

毎度期待を裏切らない割高感に定評のあるドライバーズニットに
更に加工費プラスで10万円弱という
なんとも男前プライスでしたが。








2着のスウェットを解体・再構築した
おなじみインダストリアルアーティザナル(長い)のスウェット。
これ面白いのが、印刷されてる大学名やチーム名はどれも架空のもので、
マルジェラに縁のある住所などを適当にもじって作ったものなのだとか。
そのでっち上げ感も中々ですが、もっとすごいのが
「元スウェットに縫い付けられていたタグを引きちぎった跡」
までちゃんとでっち上げている所!
上の写真で赤いスウェットの襟ぐりに微かに白いタグ跡が残ってるの、解ります?


インダス(ryのこういう「でっちあげ」感は昔の本気アーティザナルを
尊重しているようにも揶揄しているようにもとれてとても面白いです。
本気の方に慣れ親しんだ人にすればやればやるだけかえって不快かもしれませんけどね。
新しさと変わらなさがいい具合にぶつかりあってて、なんだか素敵じゃないですか。


だからってスウェットに7万弱出すかどうかって
それはまた別の話ですけどね?









つぎはぎケープ。
これ、コレクション初見の時点でショーピースであることを確信していたのに
普通に商品として並んでて笑いました。
値段は聞きそびれましたが確かに商品化するとのこと。
記念に羽織っておけばよかったです。








この袴みたいなごんぶとパンツとかファーのマフラーとかも
見てみたかったですがサンプルが無く断念
(パンツはもしかしたらあったかも)
(そしてファーのは10万越ェ…)






メンズはここまで。
レディスに移ります。






今回のショーコレクションは隆起させたコンパクトな肩や
メカメカしく入り組んだダーツ、極端に大きな細部のディテールなど、
デビュー初期の気持ち悪いマルジェラさんのような雰囲気があって
実物を見るのが楽しみでした。






なかでも、


この袖無しのジャケット。
これは入荷があるなら即確約、無くても食い下がって入荷情報手に入れたる!
って息巻いていたのですが、ショーピースで生産無し...orz


というかまあ、
例によってショーコレクションはほとんど入荷無さそうなんですけどね。
残念。






そして数少ないサンプルとして置いてあったのが、



先のストライプ生地で仕立てたこのジャケット。


記念に試着してみましたがアームホールとか腹とかが超窮屈でした(当たり前)。
無念、いやしかしかっこよかった。


古ぼけたようなストライプの生地はそれ自体もとても素敵だったので、
この生地で何か私に着れそうなのがあれば欲しいです。パンツとか。誰か…。






あ、そういえば、




これ(笑)



「背中から糸出てるよ」の次は「背中に髪の毛挟まってるよ」
を新しいアイコンにするつもりなのかと戦々恐々でしたが、
話によるとこれは新しいポニーテールの提案なんだとか。


ああポニーテールすか(笑) そうすかなるほど納得ー(笑)






次いきましょう。プレコレクションです。



メインコンセプトのひとつがこの辺の【伸ばして切って】シリーズ。


要は通常の衣服をぐんっと伸ばして変形させたり、
さらにそれを適当な位置でちょん切ったりして
新しいフォルムを作り出す試みだそうです。


だからラペルがやけに縦長だったり、ボタン位置が異様に低かったりするんですね。
ニットの柄などを見て頂ければ解りやすいかと。
エルボーパッチ付きのニットなどもあって、パッチが巻き添え喰らって
ばっちり伸ばされた挙句縦長の巨大パッチになっていました







これ。
ピークドラペルのジャケットを思いきり引き伸ばして膝下丈のコートにしたもので、
ルックには無いのですがこれが最高にカッコ良かったです。


袖丈が伸びた分をたるませて残してあるのがなんともクール。
裏地は通常の丈なので表地のたるみを好きなように遊ばせられる仕様。
しかも太腿位置にずれた通常のポケットに加えて、
脇のダーツに隠しポケットが仕込んであるんです。もう最高にクールです。
レンガ色の生地も肉厚で素敵。ベタ褒めですね。


欠点といえば
もう既に入荷してるってとこくらいです。



世界がさあこれから暑くなりますよってときに!馬鹿!!








これは【慌てて脱ぎ着してる最中の首に引っかけただけの衣服】シリーズ。

首周りに袖がまとわりついていたり変にたるんでたりするのはこのシリーズのようです。
本当に腕を通す場所などはきちんと別に作られているという相変わらずの謎クオリティ。

こういうマルジェラさん家ルール全開の服はツッコんだ方の負けです。








あとはこういう、身頃に立派なプリーツが宛てがわれたシリーズがありましたね。
ケープとかあったら素敵だと思うのですが、
アウターの類はどれもプリーツ技術料が高めなようで男前プライスでした。








そして今回のベスト・オブ・萌えはライン④のこのリブ編みニット!!

ゆるめのAラインシルエットがかわいいのに加え、
首周りの凝ったパターンと適度にコシのあるリブ編みのおかげで
全方位対応のきれいなハイネックを演出してくれるんです。

両脇にポケットが付いているのも(実用性はともかく)かわいい!






生地はカシミア様の祝福10%含。
前姿では上から下にすとんと流れてるリブ編みが
背中では複雑に入り組む感じとかたまらんですね。


さりげないのに凝っていて悪目立ちしないのに印象に残るという、
これぞマルジェラ、というかマルジェラのこういうとこが好きなんですよね。
いいぞーもっとやれー!

色展開もネイビー・グレー・ベージュetc...と多めのようです。ネイビー推し。
これは欲しいなあ。







(坊主萌え)








ということで、長々と綴りましたがトランクショーでした。
年に2回の新作弄りたい放題祭り、今回も楽しませて頂きました。
いつも本当にありがとうございます。



次はようやく引き取ってきた春夏シーズンのものの話でも。